応用編では基本編では触れなかった、革の水洗いやパーツ毎のケア(つま先・踵、コバなど)についてご紹介します。応用編②は「パーツのケア」についてのお話です。
「つま先・踵の保護、シューレース、ソール、コバ」といったパーツのケアについて、その内容をご紹介します。
こんな人にオススメ
- 靴の保護効果を強化したい人
- 更にと綺麗にシューケアを行いたい人
- 靴を長持ちさせたい人
パーツケアってどんな効果があるの?
細かい部分ですが、ポイントでケアをするだけでも全体の見た目が整って見えます。
また、アッパーやソールなど大まかな分類であってもどのようなダメージを受けるのか、その原因は異なります。
その為、各パーツにあったケアを行うことで必要な効果をより強化して補うことができます。
ケア自体も基本編の要領で簡単に行うことができます。
実際の靴の状態に合わせて、シューケアの基本的な手順を2回に分けて解説したいと思います。 また、基本編ではシューケアの手順について、応用編では基本編で取り扱わなかった靴の水洗いやソールのケアについてお話しします。 基本の手順だけ知りたいという[…]
各種パーツケアの要領と解説
つま先、踵の保護
つま先や踵は靴の外周のうち最も露出した部分であり、傷のつきやすい箇所です。
その為、シューケアを行う際は“ロウ”による硬い皮膜をのせることで外的なダメージから保護します。
ワックスを用いた方法では鏡面磨きが一般的ですが、比較的技術を必要とする方法ですので、今回はシンプルな方法をご紹介します。
使用するクリームについて
サフィールのクレム1925(油性クリーム)を使います。
油性クリームは鏡面磨きに比べ、高級感を全面に押し出した仕上がりにならないため、ビジネスシーンやカジュアルな印象にあわせて柔らかく整った仕上がりを出すことも可能です。
また、厚みのある皮膜を被せないことで靴の素材感を保ちやすくなるという利点もあります。
クレム1925は油性のクリームです。成分が「ロウと油脂」で構成されています。これは鏡面磨きで使用されるワックスと同じ構成です。その為、保護効果も十分に期待できます。
また、液状のタイプで塗布しやすく、イメージでいうと乳化性クリームとワックスの中間に位置する製品です。
仕上がりの好みによっては乳化性クリームの代わりに油性クリームを使用することもあります。
使用方法について
油性クリームを塗る際は、油分が強くならないように注意が必要です。
具体的には乳化性クリームの上に油性クリームを重ねるといった方法は避けましょう。革の保湿を補う場合は、デリケートクリームを塗った後に、油性クリームで仕上げを行う方法が適切です。
今回のケアでは、全体にギラついた印象にしたくなかったので、デリケートクリームを塗布し、踵とつま先のみ油性クリームを使用することで、乳化性クリームと油性クリームを塗り分けています。
これにより、高級志向よりもやや清潔感のある光沢を出しつつも、しっかりとした保護効果のある仕上がりにしています。
具体的なクリームの塗布に関する手順については基本編②をご覧ください。乳化性クリームの塗布の工程を油性クリームとして考えていただければ大丈夫です。
コバの処理
コバとは靴のソール部分に面した側面のラインを指します。コバは砂利や凹凸のある地面などにぶつけると表面が削れて色が抜けてしまうことがあります。
本来はやすりで面をならし、インクをいれ、蜜蝋を塗り込み、コテなどで温め溶かすなど、補修レベルの処理をすることもあります。しかし、基本的にそこまですると様々な機材が必要になりますので簡単なケア方法をご紹介します。
手順についてはオールソールの靴であれば、コバも革で作られていますので、つま先や踵のケアと同様に油性クリームを用いて磨きあげる方法がオススメです。
水濡れがしやすい部位でもありますので、やはり撥水性のある油脂やロウをしっかり含んだものを使用しましょう。乳化性クリームでも革のケアとしては効果を発揮しますが、色落ちがしやすいという欠点もあります。
どうしても、「一通りのケアを試したいけどクリームの種類は限定したい、コストを抑えたい」という場合は、サフィールのビーズワックスがオススメです。乳化性の中でもロウ成分が多く含まれています。
ソールのケア
ソールは最も汚れが溜まりやすく、乾燥がしづらい部分です。そのためカビも発生しやすくなります。
ケア手順は革製品のケアと同様ですが、靴底ということもありケアには色々と難色を示す箇所でもあります。
その為、いくつかおすすめのアイテムをご紹介します。
レザーソールコンディショナー
油性クリーム同様、主成分は油脂、ロウとなっています。ただし専用のクリームにはカビ防止剤が含まれていますので、こだわりたい方はこちらがおすすめです。
ブラシ(化学繊維)
ケア用のブラシですが、馬毛ブラシを使用すると汚れが気になることと、靴底に埋まった小石や砂利が取りにくいため化学繊維のブラシがおすすめです。
お風呂やキッチンの掃除などでも使用する機会があると思いますので、こちらはホームセンターや100均でも入手することができます。
シューレース
シューレースの処理は簡単です。
シューレースは毛羽立ちをアルコールランプなどの炎で炙ることでケアを行います。
紐をしっかりと張り炎の上をスライドするように動かしながら付着した埃や繊維だけを軽く炙ります。
紐を燃やすほど熱を与える作業ではないですが、火を扱うため危険がないように十分に配慮してください。消化用の水を用意し、屋外で作業をおこなうのがおすすめです。
まとめ
パーツのケアでは、部位に合わせて補いたい効果を検討することがポイントです。
「突出した部分は保護する」「水濡れ・乾燥がしづらい部分はカビ予防」など細かい内容ではありますが、一つ一つのこだわりが靴の佇まいにあらわれます。
私も靴磨きに夢中になっている理由は、革靴を磨くという単純で目立たないように思えるシンプルなことが、ちょっとした気遣いや工夫で靴の表情としてあらわれることが嬉しくて色々なことを試しています。
このブログがシューケアを存分に楽しむきっかけとして、参考になれば幸いです。