【基本編②】靴磨きの基本から応用まで!手順を紹介「革靴の保湿、クリームの塗り方」

実際の靴の状態に合わせて、シューケアの基本的な手順を2回に分けて解説したいと思います。

また、基本編ではシューケアの手順について、応用編では基本編で取り扱わなかった靴の水洗いやソールのケアについてお話しします。

基本の手順だけ知りたいという場合は、基本編の①、②をご覧ください。

基本編②では、靴の「靴の栄養補給・保護」 について扱います。


こんな人にオススメ
  • シューケアの手順を知りたい方
  • シューケアの工程の“意味”を知りたい方
  • “効果的な”簡易ケアを行い方

靴磨きの工程とポイント

前回のおさらいです。基本編①でご覧いただいている方は読み飛ばしてください。

靴磨きのポイント

  • 汚れ落とし:泥や化学物質、不要なものを除去する
  • 栄養補給:不足した水分や油分を加え、革の素材をと整える
  • 保護:外的なダメージから傷がつかないよう革を守る

靴磨きはこれら3つのテーマを“順番に”攻略することで最大限の効果を発揮します。

必ず「汚れ落とし、栄養補給、保護」の順番で工程を進めましょう。

これには、汚れ落としをすることでクリームを塗った際しっかりと栄養補給ができる状態に整えるなどの意図があります。

詳しくは前回の記事をご覧ください。

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靴の栄養補給、保護の手順

使用する道具

栄養補給・保護の道具

  • シューツリー(代用可)
  • 馬毛ブラシ
  • 豚毛ブラシ
  • 山羊毛ブラシ(あれば尚可)
  • クロス(布)
  • シューケアクリーム

シューツリー

毛穴やシワを伸ばすことでクリームがしっかりと馴染むよう、靴を内側からストレッチさせます。

シューツリーを持っていないという方は、丸めたキッチンペーパーや新聞紙などを靴に詰め、靴のシワをしっかりと伸ばした状態にします。

Tシャツの切れ端や専用のクロスを使用します。ポリッシュクロスは吸水性があり、乾拭きの際、しっかりと余分な油分を絡めとるができます。

ただし、製品によっては毛羽立ちのあるものもありますので、ケアに慣れていないときは2種類もしくはTシャツの切れ端のみでも十分です。使用方法は後述します。

栄養補給・保護の手順

汚れ落としが完了していることを前提に栄養補給・保護の手順を解説しています。前回の記事の続きとしてご覧ください。

①クリームの塗布

クリームの塗り方

最初に「デリケートクリーム」を塗り込みます。デリケートクリームは乳化性クリームと異なり、水分量の多いクリームです。

その為、乾燥した革やひび割れのしやすい靴皺などに使用します。

さほど乾燥やひび割れが気にならない場合は、この工程は飛ばしても構いません。その場合は③の工程から始めてください。

クリームを塗る際は、指や布、ペネトレイトブラシなどに適量をとり、革の表面に点々とのせていきます。こうすることでクリームが均一に伸ばしやくなります。

ある程度クリームを乗せたら、手早くクリームを塗り込み伸ばしていきます。

②ブラッシング

クリームを全体に塗布したら「馬毛ブラシ」でブラッシングします。

デリケートクリームは伸びもよく、浸透の早いクリームですので、「馬毛ブラシ」でクリームの塗布による表面のムラを無くします。同時に塗布の際に付着した埃などを払いましょう。

③クリームの塗布

「乳化性クリーム」を革全体に塗布します。

乳化性クリームは革に油分と水分を補い、ロウにより薄い皮膜を張ることで、「栄養補給・保護」両方の効果を一度に実現することができます。

今回は程よい艶感を出す為、ブートブラックのシュークリームを使用しています。水分量が多く伸びのいいクリームで、革によく浸透し深みのあるツヤが出ます。

要領は①の手順と同様に均一にクリームがのるように塗布します。

クリームは「指」で塗りこんでいくのがおすすめです。体温でクリームが温まり革によく馴染みます。

ちょっと抵抗がある。という方はポリッシュクロスやTシャツの切れ端、ペネトレイトブラシを使用しても大丈夫です。

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④ブラッシング

「豚毛ブラシ」で靴全体をブラッシングします。

「豚毛ブラシ」は他のブラシに比べ「硬い」繊維でできています。その分粘性の強いクリームでも毛先が負けず、革にしっかりとクリームを馴染ませることができます。

③の工程でもしっかりとクリームを塗りこんでいますが、「豚毛ブラシ」を使うことで更に漫然なくクリームを塗り込むことができます。

革の毛穴にクリームを馴染ませつつ、革をマッサージする程度の力加減で漫然なくブラッシングを行います。

指や布では届かなかったソールとアッパーの隙間など狭い部分も丁寧にブラシで磨いてきます。

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⑤乾拭き

ブラシで塗り込んだ後は乾拭きをします。

力加減に慣れるまではTシャツのような毛羽立ちのない、柔らかい繊維で磨くのがオススメです。

専用のポリッシュクロスで磨き上げるのが一般的ですが、力加減を間違えると起毛した繊維が靴に残ったクリームに付着することがあります。

一度Tシャツの切れ端で乾拭きをし、靴表面の油分を軽減させてから、ポリッシュクロスで磨くことで繊維の付着を防ぐことができます。

先ほど「使用する道具」の項目にて、“Tシャツの切れ端だけでも大丈夫です”とお伝えしたのはこのためです。

ポリッシュクロスに比べ繊維が粗いので併用した時に比べ、乾拭きの回数は増えますが、お好みでご検討ください。

表面のクリームが薄く均一になり光沢が出るまで、しっかりと磨きましょう。

クロスが汚れてきたら、綺麗な面に変えて再度磨き上げます。

⑥ブラッシング

「馬毛ブラシ」でブラッシングします。

乾拭きでできたムラや、埃を取り除き下地をならします。

一つ一つの工程でムラや汚れがあると、次の工程に移った際、そのムラや汚れも一緒に加工するかたちになります。

そのため、一つの工程が完了したらその都度ブラッシングを行い、余計なものを取り除きます。

⑦水研ぎ

乾拭きが完了した靴はある程度表面に残った余計な油分がなくなり、光沢のある仕上がりになっていると思います。

その段階で、皮膜をより密に強力にするためにも「水研ぎ」をしてさらに深みのある光沢に仕上げます。

水は布の汚れのない新しい面にうっすらと湿る程度に馴染ませます。指先に水をつけて布をはたく程度の量で大丈夫です。

湿り気を帯びた面で力を入れず手早く磨きます。表面のムラを軽く削るイメージです。

乾拭きをしても表面には剥がれやすくなったクリームが結構残っています。

水研ぎにより表面を滑らかにするとともに皮膜を固めていくことができます。

また、予め水を馴染ませることで雨などの水分が付着した際にクリームの油分が浮きづらくする効果もあります。

⑧ブラッシング

仕上げに「山羊毛ブラシ」もしくは「馬毛ブラシ」でブラッシングします。

ブラッシングを行うことで布の繊維でできた目をより密に整えます。

「山羊毛ブラシ」をお持ちの方は「山羊毛ブラシ」をご使用ください。

繊維が密で柔らかいので仕上げに最適なブラシです。

靴磨きのちょっとした工夫

シューケアは一つの工程ごとに片方づつ完了させましょう。

例えばデリケートクリームを塗る際は「右足→左足」、次のブラッシングも「右足→左足」と順番に行うことで、左足のクリームを塗っている間に最初にクリームを塗った右足の靴にクリームを浸透させる時間を作ることができます。

馴染ませる乾燥させるなどの時間を効率的に作るのも靴磨きの工程の一つです。

まとめ

第二段階の栄養補給、保護はここまでで完了です。

ポイントは「クリームの層を密に整える」ことです。

乾拭きや水研ぎ、ブラッシングなどを重ねることで徐々にしっかりとした皮膜が作られ、光沢を帯びます。

また、保護についてはその効果を高める方法として、つま先や踵部分にワックス等を用いて皮膜を強化する方法もあります。

これは鏡面磨きや油性クリームを用いた方法ですが、基本的なケア工程をわかりやすくお伝えするために割愛させていただきました。

詳しくは応用編等で扱っていきたいと思います。

基本編の工程だけでも十分シューケアは完了できていますので、その点はご安心ください。

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