今回は靴のブラシに関するお話です。
ブラシは革靴のケアには欠かせないアイテムです。
軽い埃や汚れ落としといった日常のケアから余分な油分やムラを均一にならし表面を整えるなど、活躍の機会が非常に多くあります。
こんな人にオススメ
- 日々のお手入れ方法を知りたいひと
- ブラシの使い分けを知りたいひと
- ブラシの種類と特徴を知りたいひと
ブラシって何に使うの?
まず基本的なブラシの使い方ですが、「日常のケア(埃や汚れ落とし)、クリームを塗る、クリームの層を均一にならす、ツヤ出し」といった役割で使用されます。
特に前回の記事でも触れましたが、外を歩くだけで埃やコンクリートのチリ(化学物質)が靴には付着します。そのため、外から帰ったら埃を落とすといった習慣が革靴を日々のダメージから守るためには欠かせません。
また、デートや仕事の取引先など、人と会う前にササっと埃を落としておくと、見た目の印象も非常に綺麗です。
ケアが必要になる時の革靴の状態は「乾燥、ひび割れ、泥汚れ、雨染み、カビ」など、水分量も質感もその時々で様々です。 あわせて、これだけの汚れを落とさなければいけないクリーナーは非常に強力なので誤った使い方をすると革にダメージを与えてしまうこと[…]
ブラシの種類と主な用途
靴用ブラシは主に3種類あります。
それぞれに役割が異なりますので一つずつ解説したいと思います。
馬毛
- 硬さ:普通
- 用途:埃落とし、ツヤだし
馬毛ブラシは最も頻繁に使用するブラシです。毛質の特徴から埃や汚れ落としに向いています。
これからケアを始めたい方や日常のケアに一本欲しいな、と思われる方は馬毛ブラシがあればあらゆる場面で活躍してくれます。
豚毛
- 硬さ:硬い
- 用途:クリームを塗る、革のマッサージ
豚毛はシューケアクリームを塗るときに使用します。
前述の馬毛ブラシだと毛がクリームの粘性に負けて上手く広がりづらいため、硬めの豚毛を使うのが一般的です。
豚毛であればクリームを均一にならしながら、革に浸透させることができます。
また、クリームを塗る際に革の毛穴や凹凸にクリームを塗り込む程度の力加減で、軽く力を入れると革のマッサージも行えます。
これにより革が柔らかくなり、クリームがさらに浸透しやすくなります。
山羊毛
- 硬さ:柔らかい
- 用途:ツヤだし
山羊毛は仕上げに使います。
繊維が細く柔らかいためツヤだしに向いています。馬毛ブラシだけで仕上げることもできますが、山羊毛はより発色の良い光沢を仕立ててくれます。
また、鏡面仕上げしたつま先なども表面を傷つけることなくケアできるため、一段上のシューケアを楽しみたい方にオススメです。
使い分けについて少し深掘り
ブラシを使った場合のシューケアについて簡単に工程をお話しすると、私の場合「指→豚毛→馬毛→乾拭き→馬毛→山羊毛」といった順番で使用します。
豚毛でしっかりとクリームを塗り込んだら、馬毛で余分な油分をとり、ムラを無くします。
豚毛を使用してしっかりと塗り込んでも表面には結構ムラが残っています。これは毛質の違いによるものです。
同様に馬毛だけではならすことができなかったものは山羊毛で仕上げるといった感じです。
ただし、山羊毛はとても繊細なのでクリームが限りなく付着しないよう乾拭きをしてから仕上げに使っています。
また、シューケアの手順についてお話しするときにも触れますが、最初はクリームを指で塗っています。これは体温でクリームを温め柔らかくするためです。
柔らかく伸びのいいクリームの方が革にはしっかり浸透します。「ちょっと抵抗あるな」という人はペネトレイトブラシ(小さいブラシ)をご使用ください。
使用上の注意点
色移り
顔料の含まれるクリームを使用する場合は、色移りの恐れがありますので、靴の色に合わせてブラシを使用されることをオススメします。
濃い色であれば目立つことはないですが、特に豚毛ブラシは一番クリームが付着しやすいので複数あると便利です。
ブラシは洗わない
補足として、ブラシは基本的に水洗いなどをして使用するとはありません。
これはブラシを「育てる」といってシューケアクリームの栄養分が浸透したブラシを使うことでより革靴に光沢を出しやすくするためです。
それでもクリームが残りすぎていると固形化してブラシの毛質が損なわれるため、
まとめ
靴用ブラシは毛質によって用途が異なります。
これはやすりに例えると分かりやすかもしれません。
やすりも目の荒さによって「削る、表面のザラつきをとる」などの使い分けがあると思うのですが、ブラシも毛の硬さによって使い分けを行っています。
この硬さの違いがツヤだしの際にクリームを塗り込んだり、皮膜の層を密に整えるために異なる役割を果たしてくれています。