「ブライドルレザー/グレンロイヤル」ベタつかない名刺入れのお手入れ(プレメンテナンス)

今回は、ブライドルレザーのお手入れの話です。

購入したての革小物の状態に合わせて、使い勝手のいいお手入れをする方法をご紹介したいと思います。


こんな人にオススメ
  • 革製品のプレメンテナンスをしたい人
  • ベタつかないお手入れを知りたい人
  • ブライドルレザーについて知りたい人

ブライドルレザーとは?

“蝋”をたっぷりと染み込ませて仕上げられた革です。

加工の工程で何度も蝋を染み込ませることで、革の繊維に蝋が馴染み、繊維と繊維を接着させることで非常に堅牢な仕上がりになるのが特徴です。

そのため型崩れしにくく、傷がつきにくい革製品として有名です。

表面には“ブルーム(白い粉)”と呼ばれる蝋の成分が浮き出し、ブラシを用いて馴染ませることで強い光沢を出すことができます。

グレンロイヤルやエッティンガーなどの革製品のブランドで多く用いられています。

購入した名刺入れと革の状態

  • ブランド:グレンロイヤル
  • 商品名:BUSINESS CARD HOLDER
  • 品番:03-6131/F
  • カラー:Gray
  • サイズ(cm):W11×D1×H6.4

【本記事の冒頭にあるサムネイル画像がデフォルトの製品の状態です。】

ブルームが表面に浮き出し、サラサラとした質感をしています。革の状態は非常に良く、目立った乾燥も見られません。

ただし、長期間保存されていた可能性も考慮すると見えない汚れは付着していると思います。この辺りはお手入れで解消していきたいと思います。

スリムな形状とグレーのカラーはややパープル系の発色があり、ゴールドのスナップボタンは上品さを感じさせます。

全体の印象は、フォーマルとカジュアルの中間的なイメージでビジネスシーンで用いても堅苦しくならずバランスの取れた雰囲気です。そのため女性の愛用者も多いようです。

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お手入れ(プレメンテナンス)

今回のプレメンテナンスのこだわりは、クリームによるベタつき防止とブライドルレザーの特徴であるブルームを活用した艶出しです。

革小物は頻繁に手に取り扱うものですので、クリームのベタつきが残ると手触りも好ましくありません。

また、時間をかけて仕上げられたブライドルレザーの質感を残し、ナチュラルな表情を楽しむために、あまり余計なことはせず必要最低限のお手入れに留めたいと思います。

余談ですが、ブライドルレザーの仕上げは約半年かけて行われるそうです。

用意したもの
  • 馬毛ブラシ
  • 水性クリーナ
  • デリケートクリーム
  • ネル生地or鏡面磨き用クロス

水性クリーナーで汚れ落とし

レザークリーナー_ネル生地

鏡面磨き用のクロスに2〜3滴クリーナーを染み込ませ、軽く汚れを落としていきます。

この時点でブルームを落としすぎると、仕上げのブラッシング時に光沢のある保護皮膜の発色が弱まります。

そのため“繊維が細かく柔らかいクロスとクリーナーはデリケートな素材にも使用できる水性クリーナー”を使用して、ブルームを剥がさない程度に軽く磨いていきます。

デリケートクリームで保湿

デリケートクリーム_ブラシ

見た目として、乾燥が気になる状態ではないですが、保湿や補色の効果はエイジングと共に革の表情に差をあらわします。

美しい色艶に仕上げるためにも、保湿はしっかりとしておきたいところです。

ただし、”すでに硬い皮膜で形成されたブライドルレザー”の内部に水分を行き渡らせるため分量が多く浸透率の高いデリケートクリームを使用します。

主な成分が油ではなく水で構成されているため、ベタつかないこともポイントです!

少量を指先に取り、薄く馴染ませるように手早く塗り込みます。

ブラシでブルームを馴染ませる

ブライドルレザー_ケア後

ブライドルレザーの醍醐味、保護皮膜をしっかりと形成するために丁寧にブラッシングをしていきます。

この過程で先ほど塗り込んだ、デリケートクリームの余分な油分を取り除きつつ均一に慣らしていきます。

ブルームの残し方はお好みですが、私は艶のあるエイジングを楽しみたいので、最初の時点で薄い皮膜をしっかりと形成させるようなイメージで何度もブラッシングを行なっています。

人によっては強い艶に抵抗があり、あえてブルームを残した仕上がりにする方もいるようです。

まとめ

ブルームを革に馴染ませるように馬毛ブラシを用いて磨くことで、ロウと水分が乳化しマットな質感を残しつつも綺麗な光沢に仕上げることができました。

近くで見ると表面の毛穴に詰まったブルームが点々と残っていますが、日々のブラッシングと使用で少しづつ馴染ませていこうと思います。

ちなみに、ブライドルレザーで多く用いられるケアアイテムとしては「蜜蝋(ビーズワックス)」がおすすめです。

しかし、今回のように新品のアイテムで革が硬く、蝋がしっかり残っている場合、最初のケアで油分や蝋を重ねると成分を革が弾いてしまい、ベタつきの原因にもなります。

直ぐに強い光沢を出したい方であれば「蜜蝋」を用いた方法がおすすめです。じっくり革を育てたいという方やベタつきが気になるという方は今回の方法をお試しください!

ブリティッシュメイド | BRITISH MADE

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