靴磨きを本格的に行おうとすると、細かな手順や専用の道具など、色々と段取りが必要になり靴磨きのハードルがグンっと上がってしまったりもします。
そこで今回は「時短、低コスト!でも、本格的な靴磨きができる方法」をテーマにお話をしたいと思います。
お出かけ前のケアでも使える“お手軽アイテム”をご紹介しますので、一つあれば日常的に綺麗な靴を保つことができます。
こんな人にオススメ
- お手軽に靴を綺麗にしたい
- 簡単に揃えられる道具を知りたい
- 靴は綺麗にしたいけど、できるだけ出費を抑えたい
革靴を磨く上で大事なこと
靴磨きの重要な目的
- 汚れ落とし
- 保湿、保護
シューケアの主な目的は、「汚れ落としと革の状態維持」です。
そしてこのシューケアを行う工程においては“ダメージを与えないこと”が非常に重要になります。
革製品は非常にデリケートです。
靴磨きの工程において使用する道具は革を傷をつけない材質や素材を使用するなど、革靴のケアに十分に配慮されています。
同様に本格的な靴磨きでは磨き方の手順や道具を使うタイミングについて、何かと気をつける点が多く、その複雑さが組み合わさって美しい作品に仕上げるのが楽しい!と、いう猛者(変態という名の紳士、淑女)は靴磨きにハマっていくわけです。
それでも「とりあえず綺麗にできればOK」というご意見もあると思いますので、そんな方はこれからご紹介するアイテムを利用してみてください。
簡単!本格靴磨きのメインアイテム
靴磨き 基本の工程
靴磨きの時短アイテムをご紹介する前に、基本的な工程について簡単にご紹介します。予め工程を理解しておくと、時短アイテムの使用方法についてより深くご理解いただけると思います。
- 埃を落とす
- 汚れを落とす
- クリームを塗る
- 乾拭き
これらの工程・順番は、「汚れを落とす、保湿する、保護する、ケアにおいてダメージを与えない」といったシューケアの目的が全て網羅されています。
例えば、②汚れ落としの前に、①埃を落とす工程を行います。
基本として汚れは布で拭き取りますが、その際、砂や埃が付着していると革に傷をつけてしまうので、予め埃を落とすという工程が必要になるわけです。
また、本来の靴磨きでは埃はブラシではらいます。これにより毛穴に詰まった小さな砂や汚れを掻き出し、布で擦るよりもソフトな力で「はらう」という動作を実現しています。
使用するアイテムはこのように手順や工程にふさわしい材質や役割を持って使用されています。
今回ご紹介する道具は、そんな①〜④の工程で使用するブラシや布、そして磨きの動作を大幅にコストカットしてシューケアを行うことができるものになっています。
本格的な靴磨きの道具については、こちらを参考にご覧ください。
シューケアの手順「基本編〜応用編」をご覧いただきありがとうございます。 こちらのページは各記事にて取り扱った道具を一覧で整理したものです。参照用にご利用ください。 【 仕上がりイメージ 】 雨で汚れた靴([…]
今回の目玉「時短アイテム!」
今回の目玉アイテム、その名も「“スポッキング”」です!(ダサい!)
でも、“スポッキング”で通します。
これは、ストッキングにスポンジを入れただけのやつです。
ストッキングで靴を磨くと綺麗になると聞いたことがある方もいらっしゃるとは思いますが、「ダメージを与えない、時短」という観点からもう一手間加えるとこの形になります。(独特!)
聞いて納得の詳しい理由やメリットは手順の中でご紹介します!
もちろん、100円ショップで揃えられます!
簡単!本格靴磨きの方法
使用する道具
- 新聞紙orキッチンペーパー
- ストッキング
- スポンジ
- 靴クリーナー
- 靴クリーム(乳化性)
「低コストで入手しやすいクリーナー・クリーム」については、後半でお話しします。
簡単!本格靴磨きの手順
手順の紹介では手順の横に【】として、本来靴磨きで使用する道具を記載しておきます。
どんな道具の代用品として上記のツールを使用しているのかがわかると、使い方も想像がつきやすいと思います。
①新聞紙を詰めて革靴のストレッチ【シューツリー】
履き込んだ靴にはシワがたくさんあります。
そうした溝の奥の汚れも落とし、しっかりとクリームが浸透するように、新聞紙やキッチンペーパーなど厚みのある紙をしっかりと詰めて靴のシワを伸ばした状態で靴磨きを始めましょう。
②埃落とし【馬毛ブラシ】
<使用する道具:スポッキング>
前述でもお話ししましたが、埃や砂を落とさずに、指先に巻いた布で擦ると砂や埃で革を傷つけてしまうことがあります。
ストッキングの素材感は様々な汚れを絡め取り、皮革に対して滑らかな滑り心地があり摩擦によるダメージを軽減できるため、靴磨きに適したアイテムです。
しかし、指先のように下地が硬いと力加減によっては繊維に埋まった砂や埃がダメージになる可能性があります。
そのため、スポンジを入れたストッキングでクッション性を持たせて砂や埃を落としていきます。
とはいえ、ブラシのような繊維に比べ面で磨くことに変わりはないので、使用時は擦るよりも“軽くはらう、はたく”ようなイメージで埃を落としましょう。
また、泥汚れや固まった汚れがある場合は、スポンジの不織布面(固い方)で軽く削り落とすのも有効です。
ただし、革の表面を擦らないように注意は必要です。
ソールに面したコバやウェルト部分などの汚れもしっかり落とすと仕上がりが綺麗になります。
③汚れ落とし【クロス(布)、靴用汚れ落とし・クリーナー】
<使用する道具:ストッキング、靴用クリーナー>
ストッキングを指に巻き付け、靴用クリーナーを適量馴染ませてから磨いていきます。
ここではできるだけ汚れをしっかりと落とすことが目的ですので、“ストッキングのみ”で磨きます。
これにより、古いクリームの層や汚れを落とすことで、保湿に使用するクリームを浸透しやすくすることができます。
そのため、靴磨きにおける汚れ落としは非常に重要な工程です。
また水拭きをすると革を乾燥させる原因になるため、やはり革靴用のクリーナーを使用されることをオススメします。
靴クリーナー、クリームの「使い方」はこちらも参考にご覧ください。
実際の靴の状態に合わせて、シューケアの基本的な手順を2回に分けて解説したいと思います。 また、基本編ではシューケアの手順について、応用編では基本編で取り扱わなかった靴の水洗いやソールのケアについてお話しします。 基本の手順だけ知りたいという[…]
実際の靴の状態に合わせて、シューケアの基本的な手順を2回に分けて解説したいと思います。 また、基本編ではシューケアの手順について、応用編では基本編で取り扱わなかった靴の水洗いやソールのケアについてお話しします。 基本の手順だけ知りたいという[…]
③保湿・保護【靴クリーム、豚毛ブラシ、馬毛ブラシ】
<使用する道具:スポッキング、乳化性クリーム>
靴クリームは乳化性クリームを使用し、指で塗ります。指で塗ることでクリームが温まり、革に馴染みやすくなります。
抵抗がある方は使用しなくなった肌着などにクリームをつけて塗布してください。
また、100円ショップのダイソーではペネトレイトブラシ(クリームの塗布に適した小さなブラシ)の取り扱いがあるようですので、そちらを使用されるのもいいと思います。
クリームを塗布した後は、「スポッキング」で手早く磨いていきます。
ポイントは、塗布したクリームを均一にならすことと、余分な油分を拭き取ることです。
本来の靴磨きでは毛質にコシのある豚毛ブラシを用いて粘性のあるクリームを伸ばし、クロス(布)で乾拭きをすることでクリームの成分(ロウや油脂)の薄い皮膜を作ります。
靴磨きにおける美しい光沢は、この皮膜によるものです。
均一さと薄さを出すために密度の高い繊維でムラなく磨きあげることが必要になります。
豚毛ブラシや、クロス(布)の代わりに「スポッキング」を代用することで、この薄い皮膜を実現します。
革の表面にベタつきが残らないように、満遍なくしっかりと磨いていきましょう。
複数回この磨きの工程繰り返すことで、より綿密な皮膜に仕上がるため保護効果が強化されます。
「スポッキング」は指先に比べ、面積が広く、曲線に対応できる点でも大胆に磨くことができ効率よく、靴磨き行うことができます。
ちなみに使用する靴用クリームは極端な乾燥、ひび割れがない限り、乳化性クリームが適しています。
乳化性クリームには靴の保湿、保護に適した成分がバランスよく含まれています。
④乾拭き【クロス(布)】
既に③の手順で乾拭きの工程も完了しています。
③の手順で落としきれなかったベタつきがある場合は、ストッキングやクロス(布)で乾拭きを行ってください。
ストッキングでケアを行う際は力を入れず手早く磨きます。
力を入れすぎると、保湿成分の乳化性クリームを絡めとってしまうことがあります。
ムラができる原因にもなりますので、軽い力で弧を描きながら磨いていきましょう。
もし、ムラが出た場合は先ほどの「スポッキング」で再度表面をならすことで綺麗な仕上がりに戻すことができます。
通常の靴磨きでも乾拭きででたムラは馬毛ブラシでツヤをならして仕上げるため、同様の要領で使用します。
低コスト、入手しやすい靴クリーナー・クリーム
100円ショップの靴クリーム、クリーナーってどうなの??
<あくまでも個人の感想ですが、少々辛口です。苦手な方は読み飛ばしてください>
結論として、個人的にはオススメしません。
革に使用されるクリーナーやクリームは革に優しい成分を含むものが一般的です。
革に優しいとは、主に天然成分など天然素材に馴染む仕様のものですが、安価で量産できるという点では、供給量の補えない天然成分は微量に抑えられるor含まれない傾向にあります。
また、そうしたデメリットを補うために結果として不要な成分で靴を“コーティング”するような状態になっているという印象をもっています。(あくまでも個人の意見です)
例として、簡易ケア用品としてスポンジ性の汚れ落としというものがありますが、成分にはシリコンが含まれ、革の表面をシリコンで覆うことで艶のあるように見せています。
シリコンでは革に必要な油分や水分を補うことはできませんし、保湿効果も乏しいため「ダメージを与えない、革の状態を維持するケア」とはズレた結果になってしまうと考えています。
もちろん用途に応じて使用することもできる便利なアイテムであり、ある程度の汚れ落としや保湿効果を期待できる製品もあります。
そのため、こうしたデメリットも“傾向としては、”あることを念頭においた上で、ご自身の希望に合わせた製品をご検討いただくのがベストかと考えています。
ここでいう靴磨きという観点からは、長く何度も使用するものですので、クリーナーやクリームは安心できるものを使用されることをオススメさせていただきます。
おすすめの靴クリーム、クリーナー
革靴用クリーナーやクリームは専用のものがオススメですが、今回は“簡易ケア”をテーマとしています。
そのため、比較的入手がしやすくコストを抑えた、オススメの製品を記載しておきます。
どの製品も靴の取り扱いがある店舗であれば手に入りやすいものです。
M.MOWBRAY / ステインクレンジングウォーター
適度に油分や汚れを拭き取る革に優しい天然成分を配合したクリーナーです。
次に紹介するステインリムーバーと比較すると古いクリームの落ちは控えめですが、革を傷めないケアには最適なクリーナーです。
M.MOWBRAY / ステインリムーバー
汚れや古いクリームをしっかり落としたい方にオススメです。顔料をしっかりと落として、新しいクリームを入れたい時などに使用しやすいクリーナーです。
M.MOWBRAY / シュークリームジャー
M.モゥブレィの製品は、他のブランドに比べると非常にシンプルな傾向にあります。
成分のバランスがよく、扱いやすいのが特徴です。
またお値段についても手に取りやすい価格となっており、色の展開も充実しています。
コロンブス / ブートブラックシルバーライン
オススメの中では最安値の製品ですが、ブートブラックは革に馴染みやすい印象の製品です。
シルバーラインはかっちりとした深みのある仕上がりが印象的です。
REGAL / シュークリーム
靴の製造、販売などを手掛ける大手靴ブランドですが、シューケア用品のラインナップも充実しています。
舗数が多く、百貨店やアウトレットなどでも見かける機会が多いと思います。
通勤途中など、お近くに店舗がある方はこちらでも入手が可能です。
仕上がりはオイリーな光沢感のある印象です。
M.モゥブレィやコロンブスはシューケア用品の中でもメジャーなブランドです。
ラインナップや取扱店舗数も多いため入手難易度は高くない印象です。
気になる商品がある方は是非、お近くの靴屋さんを覗かれてみてください。
クリームの選び方についてはこちらもご覧ください。
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まとめ
スポッキングのメリット
- ブラシやクロス(布)の代用として使用できる
- 面積が大きいため、効率よく靴を磨ける
- 乾拭き、皮膜作りを一つの工程で完了させられる
200円あればブラシや専用のクロス(布)を揃えなくても、しっかりと靴磨きのツールとして利用できる便利アイテムです。
また、靴は日々汚れていくものですので、日常のケアにおいても軽く埃を落とすだけでくすみや汚れが取れて綺麗な状態を維持することができます。
使い方はストッキングにスポンジを入れて磨くだけ!
とにかく、手早く、美しい仕上がりにしたいという時は是非お試しください。